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2006年4月24日 (月)

担い手

 昨日は本当に良い天気でした。
夕方から田んぼへ肥料散布に行ったんですが、鳥海山と月山が
丸見え!。(^^
 そんな中、背負い式動力散布機に肥料をドッサリ積んで振り
歩きました。田面はタネツケバナの花が満開で、とても可愛い
です。桜ばかりが花じゃないですねー。私は、こういう誰も見向きも
しない草花が結構好きです。職業柄、敵であったりもしますが。(^^;

 この作業なんですが、一般的には重労働で嫌われていますが、
私は大好きです。農作業の中で多分一番好きです。
山を眺めながら清々しい風を浴びて、ザックのような荷物を担いで
歩くワケですから、何だか山歩きみたいです。(^^
日帰りで南アルプスへ行く時のようなアドレナリンは出ませんが、
地元の山に登る時とほとんど同じ気分になります。
仕事をしていることを忘れます。

 こういう仕事は、大規模農家でないからこそ出来ます。
一応、政府が言うところの「担い手」にはなっていますが、最低
レベルですから。
 これが、大規模になればこんな手作業に近い仕事はやっていられ
ません。農家は機械のオペレーターと化します。その機械もかなり
高額。大規模になればなるほど、農業としては楽しくなくなります。
農水省のお役人は、それが全然分かっていない。
 零細農家はコストをあまり考えないか、私のように機械の減価
償却費がゼロなんてこともありますが、大規模経営になるとコスト
は大問題です。米価が下がればたちまち原価割れになって破綻
します。政府が打ち出した補償政策は初年度から躓いたことだし、
全くアテになりません。過去に、国の大規模政策に乗っかって規模
拡大したものの、米価の急落で破綻した農家が北海道を主として
数多くあったのを知らないのでしょうかね、お役人は。
 私に言わせりゃ、

「あんたらバカか!?」

 農業の担い手がいなくなる政策を採った時(食管法廃止)に、
今の事態は容易に予測できたのに、今度は大規模経営の担い手
を育成するなんて全くナンセンスです。
食料と教育をないがしろにする国に未来はありません。
それとも、近い将来、日本をアメリカの州にする計画なんでしょうか。

 この担い手政策ですが、まあ当面は良いでしょう。
でも、今の「担い手」も20年、30年後には年寄りになります。
その先の展望がないのです。お役人も退職するから先のことは
考えないのでしょうかね。
 以前、政府の米の生産調整に関する研究会の座長である東大
名誉教授と飲みながらお話した時も、結局のところ、官僚が書いた
台本通りの役割を演じているに過ぎないことを確認しましたしね。

「結局、ひもじい思いをしなければ分からない。」

という一言で…。所詮は彼も、サラリーマンなのです。(ーー
 
 私ならこうします。
サラリーマンが、定年後に農業が出来るような支援システムを構築
するのです。15年から20年は役に立ちます。すこぶる健康的なの
で、医療費や介護費の低減にも大いに貢献します。
 それと、もっとも大事なのは、零細農家を大事にすることです。
この国の気候風土に合わせて太古の昔から営んできた形態を壊して
はいけません。

 な~んて、書いてもお役人は伝わらないか。政治家も自分のこと
しか考えないしね。(ーー

 おー、我ながら珍しく今日の話題はシリアスだなー。(^^;
農の現場から、日本の将来を本気で憂慮してしまいます。
食料自給率40%なんて、恐ろしい話です。

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コメント

私は政府官僚も大学教授も大嫌いですが、その理由というのは。ファーマー佐藤さんが体験なさったような事由によります。頭の良い馬鹿者が日本国を駄目にする、というのが私の持論です。額に汗して働いたことがなく、ガッコの成績が良いだけの人間が、国の指導的立場に就くという図式は、良い結果をもたらさない。
かといって、毛沢東のように、知識階級を農村に送り込んで働かせても、頭の固くなった教授や、働かずに金を得る味を知った官僚には、なんの変化も起きないでしょう。よって、子供の内に教育することが大切だと思うけれど、これがまた我が国の教育は受験教育であって、人間形成とはかけ離れた教育をしているようだしね。家庭では子供に働くことをさせず、勉強だけしていれば満足している親の存在とか・・(∋_∈)、世捨て人状態のシロフクロウが、未来を憂えても駄目かな・・。
ともあれ、ファーマー佐藤さんが好天の下で、気持ち良さげに肥料撒きをしている姿を思い描きまして、今朝は、チョットさわやかな気分になれました。

投稿: シロフクロウ | 2006年4月24日 (月) 10時10分

「御意!!」

って思いますねー。
現場を知らない役人が机の上で理論を積み上げて政策を練る
んですから、おかしな事になるのは当然でしょう。
あるいは、給料泥棒と言われないように仕事をしている振り
をしているだけかも知れません。「ゆとり教育」などという
バカな教育改革をしたかと思えば、ほんの数年で学力重視へ
変更、なんてのはその典型です。ウチの子供らはその被害者で、
教育環境の悪い田舎に於いては、事態は深刻です。

 数年前の話なんですが、農水省の新人官僚が隣の部落の
農家に住み込みで3ヶ月間研修したそうです。
モヤシのような男で、腕なんか、親指と人差し指で作る輪の
ように細かったそうです。面白がって随分酒の肴にしたそうが、
結構いいヤツだったという話で、今も年賀状をくれるそうです。
たった3ヶ月の研修がどれほど役立つのかは疑問ですけどね。

 また、隣町では、農水省の官僚を辞めて農家に婿に来た
人もいます。お役所仕事に見切りを付けたんでしょうね。
 つまり、官僚がすべて悪いワケではなく、お役所の体質が
問題なんだと思います。小泉改革も手を付けていないし、
ほとんど見込み無しですね。残念ながら。

 肥料散布は今日もやりましたが、昨日とは大違い。
風速20mをもろに浴びながらの作業はなかなかハード
でした。足腰の鍛錬になったような気がします。(笑)

投稿: ファーマー佐藤 | 2006年4月24日 (月) 20時11分

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