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2009年7月27日 (月)

非常用品

 トムラウシ山での大量遭難から日が経ち、全容が
明らかになってきました。来月号の山岳雑誌には詳細
が載ると思いますが、私の印象としては判断ミスに不運
が重なった末の事故という感じです。

 警察やマスコミは、すぐにツアー会社の責任を問いた
がるし、観光庁も実態調査に乗り出したようですが、登山
ツアーは大自然が相手になるだけに、完全な安全なんて
あり得ません。今回の遭難事故で最初に行動不能になった
女性は、アミューズトラベルでの登山ツアーを30回も利用
している上得意様でした。
 つまり、この会社には満足していて全幅の信頼を寄せて
いたということになります。テレビインタビューでその女性の
夫も、

「彼女はとにかく山を愛していました」

というような事を仰って、ツアー会社への恨み言などはあり
ませんでした。立派な態度だと感心しました。

 遭難時の女性の装備品もチラッと公開していましたが、
防寒上の不足は特に感じませんでした。ツエルトは無かった
ようですが、ツアーである以上、テントやツエルトはガイドが
用意するべき物。実際の装備はテントが一張りだけだった
とのことですが……。

 女性が動けなくなった時点で担いででもすぐに避難小屋
に引き返すべきでしたが、一時間半も待機させたことで
事態を悪化させました。気温が氷点下近い悪天候下で
あんな吹きさらしで長時間待機させられたら、私だって身が
持ちません。暑い時期の山の寒さというのは、体が寒さに
慣れていない分、厳冬期よりも遙かに厳しいのです。

 とにかくリーダーの判断が遅かった…。
非常に残念なことです。前夜は、乾していた雨具から落ちた
水でシュラフを濡らして良く眠れなかった、ということだった
ので、避難小屋は満員だったのでしょう。
 疲れを残したまま食事も充分に取れず、悪天候で体力を
消耗し、気持ちまでも折れてしまったでは?、と想像します。

 結局のところ、ツアーといえども自分の身は自分で守る
という山の大原則は堅持する必要があるということですが、
高い料金を払っている以上、依存心が生じるのは仕方ない
ことだとも思います。


 ということで、「人のふり見て我がふり直せ」。
改めて私の登山用の非常用品を広げてみました。

Img_0516

 ほぼ、どこの山に行く時にもザックに入れている物です。
非常食、非常酒(50°のウイスキー入り)、ホッカイロ二枚、
ツエルト、無線機、メタ、ロウソク、ライター、コンパス、
ホイッスル、医薬品、ビニールテープ、紐といったところです。
コンパスと非常酒以外はほとんど使いません。

 この中で、ツエルトと非常酒、ホッカイロは特に有効です。 
体が冷え切ってしまってからはいくら着込んでもなかなか
暖かくはなりません。そんな時でも、腰とその上の首の
付け根にホッカイロを貼ればヌクヌクになります。
 ツエルトは必要不可欠です。個人装備にするべき物と
思います。しっかり張って、中で度数の高い酒をグビッと
やればたちまちホットになります。酒がダメな人だったら、
コンデンスミルクでのホットミルクやホットココアを飲ませれ
ば回復します。

「備えあれば憂いなし」

であるのは間違いありませんね。

 でも、一番大事なのは用具もさることながら、

「絶対に生きて帰る

という強い意志と工夫だと思います。

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