太平洋漂流実験50日
斉藤実著「太平洋漂流実験50日」を読みました。
辛口の批評になります。
これは単に究極的な冒険をする為に、海難遭難死者を
減らすために研究する、というお題目を唱えただけでは
ないのか?。
まず、「海水を飲んではいけない」、という定説を覆すので
あれば、なにも太平洋を漂流する必要は全くなくて陸上で
出来ます。多少のリアリティを求めるのであれば、湾内で
アンカーを落としてやれば良い。
さらに、救命ボートの耐久性を検証するにしても、各種計測
送信装置を積み込んだ無人のボートでも可能でしょう。
漂流中の食料は海から得るという目的は、漁船にでも便乗
させて貰っていても出来るでしょう。
これが、「実験」ではなくて、
「ただ単にやりたかったんだ」
というのであったら、いわば、ヒマラヤ8,000m峰の未踏岩壁
を単独で登るような行為と似たものとして、
「うーん、凄い……」
と大いに感心し、その類い希な冒険心を讃えたことでしょう。
冒険に理屈は要らない…。そこが残念です。
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コメント
なぜそこまで?と私も思いましたねー(笑)
でも、人間、飲もうと思えば飲める。食べようと思えば食べられる環境においては、はたして何日このような超限定された状態を我慢できるかというのはありますよね。
自分は確実に一日でへこたれ、逃げ出すことでしょう。
投稿: あかねずみ | 2010年1月11日 (月) 00時18分
>あかねずみさん
最初から計画した遭難旅行だから生還できた
ワケで、不幸にも遭難してしまった人が真似できる
ものではありません。斉藤氏が確立しようとした
漂流術を実践できる遭難者は百人に一人もいない
でしょう。事実、この冒険から30年以上経った
現在も海難死は多発しています。
それにしても、海では絶対に遭難したくないですね~。
あー、ヤダヤダ……。
投稿: ファーマー佐藤 | 2010年1月11日 (月) 15時21分
本当にこの本を読んだのですかね? 疑問です。
筆者は、実験に至った背景をきちんと説明しています。
いくつかのデータを並べても、海上保安の関係者や、漁師らの言い伝えは変えられなかった。
それどころか海保やマスコミからは単なる冒険家や人騒がせとの汚名を掛けられたことに対して、思いを説く方法として、リアルな事実作り、それによってインパクトを投げかけたかったと書いてあります。
確かに、この実験に一途すぎる生き方が、賢明とは言えませんが、あなたがおっしゃる理想的な方法では、海水飲用延命説を広めることはできなかったのです。
投稿: juri | 2012年4月14日 (土) 14時30分