「マエストロ、それはムリですよ…」
~飯盛範親と山形交響楽団の挑戦~
という副題が付いた昨年発売のこの本。遅ればせながら
読みました。仙台での二日目、待ち時間に丁度良いと思って
買っていきましたが、グイグイ引き込まれて一気に読んでしま
いました。
1972年、山形県出身の指揮者、村川千秋氏によって設立
された東北初のプロオーケストラである山形交響楽団ですが、
今ひとつパッとしない存在でした。
そこに救世主のように現れたのが、国内外で活躍する新進
気鋭の指揮者、飯盛範親氏。そこには、赤い糸のような運命的
な何かがあったのではないかと思わせるような話がこの本には
綴られています。
実は私、クラシック音楽は中学生の頃から大好きで、東京
で学生生活を送っていた頃には、バイト代でせっせと演奏会に
行っていました。オーケストラの演奏会では、一番安いE席とか
を買って、序曲が終わると空いているS席に素早く移動して、
一流演奏家の演奏を堪能していました。
在京のプロオケはほとんど聴いたと思います。
しかし、山形県民でありながら山形交響楽団の演奏は一度も
聴いたことが無いのです。20代後半からはジャズを好むように
なったことも要因ですが、クラシックが嫌いになったワケではあり
ません。興味度と時間、お金の都合から、単に優先度が下がった
だけです。
しかし、この本を読んだら、誰だって山響の演奏を聴きたくなりま
すよ。これは断言できます。
ということで、取りあえず、CDを注文しました。
何と、山響はオリジナル・レーベルを保有しているというのですから
驚きます。しかも、SACDハイブリッド盤もあるみたい。(@@
「マエストロ、それはムリですよ…」
という注文を飯森氏が付けた成果の一つのようです。
とにかく、事務局側からすれば無理難題の要求を一つ一つ
クリアしつつ、飯森氏も他の音楽監督ではまずやらないような
献身的努力によって、観客動員数180%の奇跡的飛躍を
遂げている事実は、素晴らしいの一言に尽きます。
折良く、今日の山形新聞夕刊に、飯森氏指揮での山響公演
が14日に近所で開催されるという記事が載っていました。
チケットが取れたら行ってきます。
それにしても、この本の帯には、
「ビジネスマンにも大好評!、たちまち増刷!」
とありましたが、財政難に苦しむ地方自治体のリーダーにも
是非とも読んで欲しい一冊です。実は高いポテンシャルを持って
するのにも関わらず、それに気付かずに劣等感すら抱いて、国の
お情けにすがってような現実から抜け出すヒントが得られることで
しょう。
ほんの僅かであっても、可能性があるならやってみるという姿勢
は見事です。そのベースには、非常に前向きで独創性を重視した
飯森氏の父母のユニークな教育方針があり、なかなか興味深い
です。育児本の要素もあります。
ということで、音楽ファン以外でも楽しんで為になる本だと思い
ます。お薦めです。
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コメント
確かテレビでもやってました。
山形交響楽団が急激に変わったと。 話題になるくらいなんですね。
中学の時、確か鶴岡の文化会館に秋の文化補助事業の一環で来たのを聞いた様な。う〜んだった気が。
きっと音も変わったのでしょう。
東北唯一の日本でただ一つの収益が成長するプロ交響楽団。
頑張って欲しいものです。
投稿: こうさく | 2010年2月11日 (木) 18時43分
>こうさくさん
そんなことがあったんですかー。
私んとこでは無かったです。
でもねー、いくら山響とはいえ、プロの音楽家の
集団ですよ。そんなに酷い演奏をしていたとは
全く思えないんですが。音楽大学を卒業してもプロの
オーケストラに入れる人は少ない事を考えれば、
充分エリートでしょ?。
ちなみに、仙台にもプロオケがあります。後発ですが。
投稿: ファーマー佐藤 | 2010年2月11日 (木) 20時39分