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2010年8月28日 (土)

ラジオの修理

 ポンプ小屋で作業中に、ラジオを聴こうと棚に無造作に
置いたらパタンと倒れました。たったそれだけなのに…。

 音が凄まじいビビリ音で聴くに堪えない状態になって
しまいました。スピーカーの磁石が鉄粉を拾ってしまった
ようです。あ゛ー、買ったばっかりなのに~。

 仕方ないので分解掃除することにしました。

Img_1958

 基盤を外すとスピーカーが出てきました。
問題はこの反対側ですが、スピーカーは接着剤でガッチリと
固定されていました。修理することは考えていないワケね。

 仕方ないので、精密ドライバーで無理矢理剥がして取り出し
ました。

Img_1959

 あー、やっぱり黒い鉄粉と鉄片が振動板にたくさん付いて
います。ガムテープで念入りに取ってから組み立てですが、
こういう細かい作業は苦手なんですよね~。

 でも、何とか元通りになりました。

Img_1960

 音も元通りになってバッチグー。

 これからは、置き場所に気を付けなくては…。

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2010年8月27日 (金)

世界最軽量級シェルター?

 自立式のシェルターとしては、アライテントのライズ1が
世界最軽量で、その重さは980gだそうです。

「へ?、そうなの??」

というワケで、私のヘイリテイジ、スーパー・ツエルトS改+
自立式外フレームで張り合ってみましょう。(笑)

 一昨日に計測した際には張り綱も込みの重量だったので、
外してみると、インナー・ポール抜きでちょうど1,000gでした。

 惜しい~。あと21g減量で世界最軽量かあ~。(笑)

 いや、待てよ。収納袋も引いてみましょう。

 すると……。981g。あ~。やっぱり惜しい

 これが、ファスナーを2本追加した改造型ではなく、ノーマル
のスーパー・ツエルトなら記録更新間違いなしなんですがね。

 ということで、今回のファーマー工房謹製ツエルト用外フレーム
は、かなりの線をいっているなー、という気がしてきました。
 
 やっぱり、商品化かな~?。(笑)

 でも、ブラックダイヤモンドの超軽量テント「ワンショット」は僅か
1,040gですから、これから買おうという人だったら、そっちの方が
良いかもね~。

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2010年8月26日 (木)

プチ改良

 昨日アップしたツエルト用の自立型外フレームですが、
チョットだけ改良しました。

 

 ポールを接続するソケットが小さいので、冬季とかでは
設営及び撤収時に紛失する恐れがありそう…。

 

 そこで、トップ・ポールにショックコードで繋ぎました。

 

Img_1957

 

 収納時にはこうなります。

 

Img_1956

 

 これなら安心です。
しかも、設営時にはテンションが掛かってトップ・ポールから
脱落しないので、楽に連結することが出来ます。

 

 さて、このフレームの良いところは、1~2人用のツエルト
なら他のメーカー製でも使えることです。脚を10cmほど
足せば2~3人用にも対応します。

 

  なのに、どこからも発売されていないのは不思議な気が
しますねえ。商売っ気があれば売り出すんですが。(笑)

 

 ただし、モンベル製は妻面が内側に傾斜しているので、
吊り下げコードをかなり長くしないと無理です。

 

http://farmersatoh.cocolog-nifty.com/zakkicyou/2017/08/post-4131.html

へつづく。

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2010年8月25日 (水)

スーパー・ツエルトの自立化!

 エアライズ2のポールには、旧来の#7001ジュラルミンを
使うことにしました。見た目はイマイチですが、韓国ユナン社
製のエアハーキュリーと比較したら何か良さそう。
ほとんど本能的ですが、私の勘ってかなり当たるんですよねー。

 というワケで、エアハーキュリー・フレーム一式が不要になった
ので、ヘリテイジのスーパー・ツエルトS用に改造しました。

 ツエルトとは、主として非常時に使う簡易テントのことですが、
基本的には骨が無いので自立出来ません。スキー板やポール、
樹木等があれば張るのは難しくありませんが、そうでないと
苦労します。それを、自立式にすれば使い勝手は格段に良くなる
ハズ。

 そこで、モンベルのムーンライト・テント方式を採用することに
して、まずは3型を張ってみました。

Img_1940

 テント本体とフレームの長さを測ることで、比率計算によって
ツエルトに最適なフレーム長を算出しようというワケです。

 ムーンライト・テントは本来、ポールが全て繋がっていてガラ
ガラポンで簡単に伸張するようになっていますが、収納時に
嵩張るので私の場合は一本ずつ切り離しています。

Img_1941

 今回もそれに倣いました。
長さが半端になって足りない分は、ステンレス・パイプを
ジョイントとして使って延長しました。

 そうやって出来たのがこれ。

Img_1954

 脚の部分はこんな感じ。

Img_1947

 四隅を固定してからポールをセットする手順はムーンライト
と全く変わりません。

 そして、トップを取り付けます。

Img_1955

 実際に張ってみるとトップ・ポールのテンションが低かったので、
70mm足しました。5本のポールにはショックコードが入って
いますが、エンドには3mmボルト用のステンレス・ワッシャーを
ボール盤とディスク・グラインダーで削って使用しました。
ポールを接続しているパイプは、VP-13、つまりは塩ビの水道管
です。

 そして、インナー・フレームを取り付ければ、ジャーン。完成

Img_1942

 このツエルトは、入り口にファスナーを2本追加することで
逆T字型のダンロップ式にした改良型です。
劇的に使いやすくなりましたが、何故メーカーで採用しない
のか不思議です。大して重くもならないのに…。

Img_1946

 それが、今回の自立化で、季節や場所を問わずに張ることが
出来るようになったワケですね~。\(^〇^)/

 しかも、純正のポール・セットと違って入り口を塞がないので、
使い勝手は最高です。

 まあ、私の場合の前提条件として、降雨が予想される時は
山に行かないので、ツエルトでも殆どの場合は問題無いのです。 


 さて、エアライズ2と比較してみましょう。

Img_1948

 右側がエアライズ2で左がスーパー・ツエルトSです。
重さは、スーパーツエルトS改587g+ポール544gで
1,131g。インナーポール抜きで1,037gです。
エアライズのジュラルミン・ペグ10本を加えてフルセット
にすると、1,233gとなります。

 一方のエアライズ2のフルセットは実測値1,780gだった
ので、その差は547gです。

 しかし、それよりも本体の小ささは圧倒的ですね。
エアライズ2もテントとしては画期的に小さく軽いのですが、
ツエルトには及びません。ザックも小さくて済むメリットは
かなり大きいです。勿論、厳しい条件の場合ではエアライズ
2を使うことにしますがー。

 いや~、早くお山で使ってみたいな~。


 ちなみに、作業風景はこんな感じです。

Img_1953

Img_1951

「使えるワッシャーはどれだあ

みたいな。(笑)

http://farmersatoh.cocolog-nifty.com/zakkicyou/2010/08/post-be4e.html

へ続く… 

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2010年8月18日 (水)

モンテ3連勝!!

 J1モンテディオ山形が横浜Fマリノスを1-0で破って
3連勝を飾りました。\(^〇^)/

 山形県人として、郷土のチームが頑張っているのは
とても嬉しいことです。

 でもねー、全国ニュースでの扱いが不当なんですよ。
NHKでも一方的に相手チーム寄りなんですよね。

「モンテディオに黒星を喫してしまいました」

みたいな。J1随一の貧乏チームがこれだけ頑張って
いるんだから、対等に扱って欲しいものです。
酒田弁ではこういう場合、

「そげ、やしょめんなちゃ

と言います。

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2010年8月13日 (金)

抜け毛

「チャンピオン犬の娘なのにねえ……。」

 妹夫婦が墓参りに来た折りに言われました。

 うっ…、確かにその通り……。我が家に買われて来た
ばっかりに……。

 毎日の仕事に追われて、さくらの手入れを何ヶ月もしていな
かったので、毛並みは最悪の状態になっていました。
私が見ても粗末で貧乏くさい駄犬に成り下がって、野良犬の
方がマシかも知れない感じ…。

 しかし、時は盆。人も来るし、これじゃあんまりだということで、
ブラッシングをしました。嫌がるのも構わずに押さえつけてです。

Img_1933

 ヤレヤレ、少しはマシになりました。
ホント、暑苦しいねえ。

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2010年8月10日 (火)

エアライズ2のポール破損問題5

 エアライズ2が帰ってきました。
酒田のとがしスポーツに持っていってから僅か一週間です。
アライテントの素早い対応には驚きました。

 しかも、折れたポールの代替え品として、旧モデルの中から
二種類のポールをフルセットで付けてくれました。
しかも、予備のポール付き。
折れたポールは調査のために、韓国ユナン社へ送ったそうです。

Img_1930

 エアライズ2をとがしスポーツで購入した際は、全くの信用
買いでした。エアライズ2と言えば、山岳テントでは定番中の
定番でしたし、とがしスポーツの古参店員H氏が、

「数多く売ったけど、クレームは一度も無い」

ということで、中身も見ませんでした。

 しかし、今回の外的無負荷状態でのフレーム破損事件でアライ
テントへの信用をすっかり無くしました。

 そこへきて、誠意あるこの対応
クレームへの迅速丁寧な対応は商売の基本というか鉄則ですが、
なかなかアッパレだと思いました。

 さて、早速比べてみましょう。まずは2004年以降、現在に
至るという第三世代のエアハーキュリー・フレームです。

Img_1925

 次ぎに、2002年までに採用されていた#7001ジュラルミン
のポール。

Img_1927

 前者は一本の長さが38cmで1セット10本。後者は43cmが
9本です。

Img_1929

 一セットで33gの違いならならほとんど変わりないですね。
太さは僅かにエアハーキュリーが太いですが、肉厚は同じです。
ジョイント部の有効長は、エアハーキュリーの36mmに対して
#7001は32mm。

 ウーム……。
比較は難しいですね。ジョイント数が少ない方が良い気はしますが、
エアハーキュリーのジョイントは長い……。これはほとんど互角と
言って良さそうです。見た目のスマートさではエア・ハーキュリーの
勝ちですが。

 ここで、メーカーサイトの下記ページ最下部をご覧下さい。
エアライズシリーズの歴代ポール五種が載っています。

http://www.arai-tent.co.jp/lineup/tent/accessory.html

 これによれば、問題のポールは⑤で、2006~2007の二年間
だけの採用で、今回のエアハーキュリー・ポールは④のようです。

 つまり、今回頂いたポールは前モデルでありながら現行モデル
でもあるということみたい。韓国ユナン社のエアハーキュリー・
シリーズになってから短期間に4回もモデルチェンジしているという
ことになるようですが、そのワケを知りたいところですね。

 ということで、見た目には現行ポール④で問題なさそうですが、
信頼性では#7001ということになるのでしょうか。
比較しようにも本体が一つしか無いので、同時には無理。
どうせなら、本体も付けて欲しかったな~。厳冬期の鳥海山で
比較してみたいものです。

        
 ところで、折れた⑤のポールについて考えてみました。

「なんでこれだけジョイントが短いフローティング・コネクター
なの??」

 ジョイントが短ければ負荷が大きくなって裂けやすくなります。
どちらにも抜けるので、無造作に畳むと不揃いになってしまい
ます。

 利点としては、折りたたむ時に凍って抜けないというトラブル
がほとんどなさそうということ。また、ポールが裂けてもその
部分をカットすればまた使えるようになります。

 でもな~。

 アライテント社では、末永く使って欲しい、ということで、今回の
ような対応を取ってくれました。その姿勢には敬意を表したいと
思います。こういうメーカーは末永く繁栄することでしょう。

 ついでなので、改良して欲しい点を挙げます。
滅多なことでは折れないフレームを採用するのは勿論ですが、
本体とフライの間隔が狭いために、サイドウオールがフライに
密着しやすい点を改善するべきでしょう。
四隅の目止めも、目止め材を添付するのではなく、ちゃんと
施してから出荷して貰いたい。

 今後、私がテントを買うことはもう無いと思いますが、
より良い物を作って欲しいという願いはあります。
私も、ジャンルは全く違うとはいえ、作り手ですから。

 最後になりますが、とがしスポーツの対応も完璧でした。
こういうのは安売り通販では無いでしょうね。さすがは老舗の
専門店です。お見事。\(^〇^)/

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2010年8月 3日 (火)

トムラウシ山遭難事故調査報告書

 昨年の7月16日に発生して10名の大量遭難死者を
出した、北海道大雪山系トムラウシ山の遭難事故から一年
経ちましたが、それに合わせて、NHKのクローズアップ現代
で取り上げていました。

「山岳ガイドのスキルアップが喫緊の課題である」

という、トムラウシ山遭難事故調査特別委員会の報告に
基づいて、本場ヨーロッパの山岳ガイドの養成プログラムや
客のレベルチェック等を紹介するという内容でした。

 そこで、ネット検索してみると、件の報告書がアップされて
いたので、プリントアウトしました。

Img_1920

 91ページに及ぶ報告書です。典型的な気象遭難だった本件
ですが、私的には踏み込みが甘いと思いました。

 まあ、感じ方は人それぞれなので、ぜひ読んで各自判断して
欲しいと思います。

「そういえば、オレがトムラウシに行った時も天気悪い日があった
よな~」

と思い出したものの、よくは覚えていません。

 しかし、山岳会の機関誌に投稿した記事が残っているので、
一部を割愛して紹介したいと思います。

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  平成4年8月29日(夜)~9月5日 個人山行

8/29
 朝仕事を終えると食卓で日本農業新聞を広げた。
丁度全国の週間天気予報が載っていた。

「う~ん、良くないな、よし!今日出発しよう!」

 予定では9/1夜の出発で、列車と飛行機の切符も全て
手配してあったにも関わらずである。慌ただしく仕事を片づける
と夕方の下り特急列車に乗り込んだ。

8/30 
 10時過ぎに十勝岳温泉に着いた。
十勝岳の噴火は記憶に新しいところで、観光客の姿も見られた。
時折晴れ間も覗いたが、歩き出すと間もなくガスが掛かってしま
った。
 
 今回のルートは、十勝岳温泉→上ホロカメットク山→十勝岳→
美瑛岳→オプタテシケ山→トムラウシ山→忠別岳→白雲岳→旭岳
→旭岳温泉のロングコースなので、やはり天気が気になった。

 そこで十勝岳付近で、地元の実力者らしき男性登山者を捕まえて
聞いてみた。

 すると、今の時期に晴れるのは、太平洋高気圧の勢力が強くて
大きく張り出している時と、台風のような大きな低気圧が通過した
後だけと言う。それ以外は下界が晴れていても濃いガスに見舞わ
れるのだそうだ。

「う~む、時期が遅かったか……。」

 見事に期待を裏切る明快な回答であった。

 しかし、私はめげない。せっせと足を進めた。
十勝岳までは登山者も見られたが、その先は皆無でキツネが居る
くらいだった。

 やがて雨となった。

 美瑛富士避難小屋に着くと先客が4人いた。かなりのボロ小屋で、
張り付けたシートで何とか風雨がしのげるといった程度だった。
札幌からの2人組は小屋の中にテントを張った位である。
水場も無く、窪地に溜まった雨水でメシを炊いた。

 今回の食料計画は、私の個人山行では非常に珍しい事だが、
ザックを軽量化するために加藤氏式を採用した。
まずは2日目の長丁場(ヒサゴ沼避難小屋まで)に備えて最高級
ビーフカレーを2つ平らげた。

「よし!頑張るぞ!」

8/31
 雨、強風、濃霧……。低気圧の通過が予想外に遅く、回復する
見込みも無かったので迷わず停滞と決めた。他の人は、3人下山
で1人が停滞(3日目と言う)だった。小屋は昼なお暗く、ひたすら
眠るには都合が良かった。

「あ~あ、カレー食うんじゃなかった……。」

朝飯抜き……。昼飯抜き……。
夕食は昨夜の残飯でお茶漬けサラサラ、ハイおしまい。

「ハラ減った……。」
 
9/1
  夜中に、物凄い雨と小屋がぶっ飛ぶんじゃないかと思うような
強風に見舞われた。天気予報では回復すると言うが、出発予定の
5時になっても雨だった。更には次の前線が接近中だったので、
前進か撤退かの二者択一である。

 しかし、進む場合のタイムリミットとした6時で雨は上がった。
強風と濃霧は変わらなかったが、とりあえずオプタテシケ山まで
行ってから考える事にした。

 そして、ガイドマップのコースタイム3:30のところを1:30で歩いた
時、腹は決まった。

「行こう!」

 天気に若干の期待が持てたし、第一振り返ると強風をまともに
受ける為、戻る気にはなれなかったのだ。

 濃霧の中をひたすら歩いた。背を越える笹ヤブで登山道が見えな
かったり、メチャメチャな踏み跡、何処でも歩ける岩稜帯等悩ます処
もあった。

 そんな時役に立つのははやり1/25,000の地形図である。
今回は10枚も張り合わせたが、見易くするために通過して不要に
なった分は切り離していった。

 歩きながら退屈しのぎと熊よけ?にラジオを聞いた。
丁度9/1は「防災の日」で特集番組を放送していた。道内でも防災
訓練が随所で実施されていたが、昨夜の豪雨で被害が出たために、
訓練を中止した自治体もあった。運良くと言うべきか、十勝岳温泉
から旭川に行く道路も土砂崩れで寸断されたらしい。もし、撤退して
いたら足止めを食らうところだった。

 そうこうしている内にコスマヌプリを過ぎた辺りからガスが切れ、
晴天となった。非常にラッキーだと思った。
何と言っても今回の山行の核心部である。他の所が晴れるよりも
私には何倍も価値があった。特に黄金ケ原から眺めるトムラウシは、
ため息が出るほど美しかった。紅葉にはほんの僅か早かったようだ
が、この上無い贅沢である。

 ちなみに9/12には大雪山の黒岳で初冠雪が記録された。

 トムラウシの頂上直下付近は大小多数の清水の池が有り、
幕営地としても最高のロケーションを呈していた。真夏に気の
合った山仲間と、水浴びでもしながらのんびり出来たらいい
だろうなあ、とつくづく思った。

 そこから上は鳥海山の新山のような岩山だった。

 2,141mの山頂に着くと若者が二人いた。
北海道第二の高峰ということで、眺めは素晴らしかった。
歩いて来た山々は雲に遮られて見る事が出来なかったが、
ニペソツ山や石狩岳、大雪山等が視界に広がった。
当然ここで大休止、といきたい処だったが……。

 計画ではヒサゴ沼避難小屋泊だったが、翌日の天気は確実
に雨だったので忠別岳避難小屋まで足を伸ばすことにした。
その時間差が2時間余あったので、急ぐ必要があった訳である。

 そうして、化雲岳、五色岳を経て5時半、忠別小屋に着いた。
小屋のすぐ前には大きな雪渓があり、水が豊富に流れていた。
トムラウシの清水も旨かったが、そこのは

「最高!!」

 合掌造りの小屋もきれいだった。先客は神戸からの若者一人
だけだったので、広々と使う事が出来た。まずは酒!となったが、
停滞中にチビチビやったのが祟ってたちまち空になってしまった。
後は飯を食って寝るだけである。おかずはタマゴ、タラコ、カツオ!
の、まるちゃんフリカケであった。
  
9/2
 5時に小屋を出た。昨日の疲れも取れて快調だったが、1時間程
で雨が降り出した。加えてガス、強風……。ただただ目の前の淡い
踏み跡を見つめて歩くしかなかった。おまけに安物のエントラントの
カッパが、使用3回目にして水漏れを起こすはで散々だった。
道も平坦な直線がほとんどで、大変長く感じられた。

 ほとんど休まずに白雲岳の避難小屋まで歩いた。
掲示板にはクマの目撃情報がずらっと書いてあったが、忠別小屋の
近くで糞を見つけただけで実物を見る事は無かった。
美瑛小屋での話では、登山道を歩いている限りは、滅多に会える
ものでは無いらしい。我々が県境縦走でたまにカモシカを見るのと
似た感覚だった。鈴やラジオでクマよけ……、はどうも道外からの
登山者と見ていいようである。
 
 その先はいよいよガスが濃くなり、横風は15mを越えた。
とにかく広い遮蔽物など何もない尾根である。(そう感じた)
その風をまともに受けるのだから大変である。体全体を風上に10゜
程倒したままの歩行が続いた。気温はさほど低くなかったのだが、
手がかじかんだ。

 だから、北海岳、間宮岳を経て大雪山及び道最高峰の旭岳
(2,290m)の頂上をもそのまま通過して下山した。
ロープウエイ駅食堂の暖房が実に心地良かった。

 悪天にも見舞われたものの、この山行の印象は大変良い。
予定通りの踏破とトムラウシ付近での晴天が全てである。
例年この時期は本州以南の山々は晴れることが多いのだが、
北海道の山は大分勝手が違うようである。

 今回の計画には付録があった。利尻岳と羊蹄山をも登ると
いうものである。まずは旭川のホテルで仮眠した後、深夜の
急行列車で稚内へと向かった。


 
 以下は割愛しますが、利尻岳は強風の為に速攻で断念して
稚内からUターン。羊蹄山には楽しく登りました。


 ということで、単独山行ならではの身軽さで完璧な判断の下に
行動出来たと思います。これが、寄せ集めの大人数ツアー登山と
なれば困難を極めることは容易に想像できますね。

 そこで、山岳ツアーの場合には、

「ガイドの判断により、計画を変更、及び中止することもあります」

という文言をハッキリと募集要項に載せるべきだと思います。

 もし、私がこのツアーのリーダーだったら、計画を大幅に変更して、
誰でも簡単に登れる旭岳を割愛して、トムラウシ一本に絞ります。
お客もトムラウシをメインに捉えていた筈ですから。

 具体的にはトムラウシ温泉からのピストン。
この団体で日帰りは無理なので、天気の良かった7月14日に
トムラウシに登頂して、直下の幕営地で一泊。翌日は前線が
通過する前に速攻下山です。温泉でマッタリすれば、お客も満足
したことでしょう。

 この遭難事故が起きた日のことは今もハッキリと覚えています。

「えっ!?、寒冷前線が通過したこんな日に行動したのか!?」

 山と天気図が分かる人なら誰だってそう思ったでしょう。
昔ならいざ知らず、一週間前から天気動向が分かる現在です。
亡くなったチーフリーダーだって分かっていた筈ですが、いかん
せん、北海道の山を知らなかったのに加えて予備日が無い日程
に、がんじがらめになったのでしょう。不幸なことです。

 なにはともあれ、生還者の生々しい証言や生きるために実践した
工夫等が記載されているし、一般的に経験者が少ない低体温症
のことも書かれているので、この報告書には一読の価値があると
思います。

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