還るべき場所/笹本稜平
SONEさんお薦めの山岳小説を読みました。
K2の未踏ルートでかけがえのないパートナーを失った主人公
が、4年後にK2再挑戦の為にブロードピークの公募登山ガイド
として再起。パートナー遭難の謎や想定外の厄介なパーティが
思わぬ展開を生みます。
前半は、
「まぁ、ありがちな構成だよね~。」
と思いつつ、核となる登場人物の言葉が、妙に文学的だったり
哲学的だったりするのには、かなり違和感を覚えました。
終盤の極限状況下では特にそうです。そんな、格好いい台詞
なんて吐けないって。(ーー
冷静になれば、
「そりゃぁ無いだろっ」
という突っ込みどころ満載なんですが、面白いんです。
どんどんと状況が悪化していく中で、果たして打開策はある
のか。
これは映画にして良い作品ですね。
経済小説的な要素を織り交ぜているのもミソでしょう。
残念だった点もあります。
大名行列的な公募登山を露骨に批判していた麓の連中が、
人間の生存が許されない高所で行われた公募隊による決死の
救出劇をどう観たかについてと、不届き者の処遇について全く
触れられていなかったんですねぇ…。
「上手く想像して下さいね。」
ということかも知れませんが、読者の溜飲を下げてくれても良かっ
たのに、と思いました。無駄に長い前半を詰めて終盤を充実させ
れば良かったのにねぇ…。
でも、楽しめる作品です。
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