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2016年8月29日 (月)

鳥海山 SEA TO SUMMIT 2016

 飛島からカヤックで漕ぎ出す「飛島エキスペディション」は
中止になったものの、本大会は天気に恵まれて大成功となり
ました。実行委員長の香奈子ちゃんは、2年連続で飛島発を
中止したことに責任を感じていましたが、

「あの企画は宝くじみたいなものだから気にするな。」

と言っておきました。当たればラッキーなんです、あれは。

 さて、好条件の中、例年通りに5:30に大会スタートです。
チームからスタートしてシングルの選手が続くのはいつも
通りですが、チョットだけ違いました。今大会には、過去
5大会での優勝者4名全員が参加していて、シングル部門には
3名出場ということで、モンベルの大会責任者である佐藤さんが、
前日に思いついたという「シード権」が、当該選手の了解を得た
上で採用されたんです。

 シード選手というと、通常は真っ先にスタートするものですが、
今回は最終スタートという異例なものです。

 しかし、山頂ゴールの時間が少し遅くなることで、大会スタッフ
の負担が少し軽減されるし、ガチで優勝狙いの選手にとっても
自分の位置が分かって大歓迎です。

 ということで、最終グループで、私、愛知の平野さん、岩手の
高橋さんがスタートしました。

 まずはカヤックで、平野さんとほぼ同時にスタートしました。

 が、漕ぎ出してすぐに、彼の様子が変なことに気づきました。
いつもの切れのあるパドリングが見られなかったんです。

「おっ、これは作戦成功か

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 岩手の高橋さんは、かの「富士登山競争」のチャンピオンで、
総理大臣賞も受けているような超人だし、愛知の平野さんは
「富士山駅伝競走大会」の選手で、SEA TO SUMMITでの
通算成績は8戦7勝という猛者です。

 しかも、高橋さんは41歳で平野さんは39歳ということで、
どう考えても55歳のオヤジが勝てる相手ではありません。

 そこで、策を弄しました。毎年やっている山仲間との前夜祭に
二人を招いたんです。勿論、酒をしこたま飲ませて潰そうという
作戦です。(笑)

 飲みながらも、互いに、

「全然練習してないんだよー。」

などと、とても信用出来ないような牽制球が飛び交って、かなり
楽しい酒席でした。一般人には全く理解できないような超人同士
ならではの話もあって、かなり盛り上がりました。

 そこで、古くからの山仲間3人に、そっと指令を出しました。

「やづらさ、がっつり飲ませれ。オレは先に寝っがら。」

 さて、話を戻しましょう。さい先良くスタートしたカヤックでは、
吹浦港内を2周して、恐らくトップでゴール。素早くバイクに
移行しました。先行していた選手をバンバン追い越して登った
ものの、調子はイマイチ。

 そこで、練習走行では全く使わなかったクランクギアのインナー
も使って脚の負担を減らして走りました。

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 駒止から先では、2014年大会で追い越されてしまった、
女子のトップレーサーである佐藤咲子さんを追い抜いて、
全体のトップに立ちました。

 と、そこまでは順調でしたが、突如として後ろにライダーが現れ
ました。それは、なんと岩手の高橋さん。尋常ではないスピード
で迫ってきました。彼が速いのは分かっていましたが、予想以上
でした。ヒルクライムのトップ選手に多い高回転型ではなくて、
重いギアをガシガシ回すトルク型で、地味ながらメッチャ速い

「あ゛ー、無理。ヤヅには勝でね。」

 トップの座を大平山荘前でアッサリと明け渡しました。

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 ということで、後ろから刺される恐怖が一つなくなりましたが、
まだ山で滅法強い平野さんがいます。

 さて、鉾立では、高橋さんを見送ってから1分ほど遅れて
スタートしましたが、それ以降彼の姿を見ることは全くありま
せんでした。次元が違う登り方をしているのは間違いない
ですが、今大会は「ランニング禁止」ということになっている
ので、遠慮はあったハズ。。。

 一方の私は、全く練習していなかったことが仇になって、
調子が上がらず、御浜まで42分も掛かってしまいました。

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「8分遅れだぞっ

と、八幡山岳会の阿曽さんから教えられましたが、追いつく
のは不可能なのだー。

 まぁ、それは完全に予定通りなので、課題は平野さんから
逃げ切れるかどうか。。取りあえず御浜まではリードできた
けれども、まだ先は長いのだー。

 御浜の先は下りがあるので、必然的にペースが大幅に
上がりますが、その先の登り切った所に大会スタッフがいて、

「108番の佐藤さんですね?。あなた走ってましたね
この大会はランニング禁止です

「は?、競歩で頑張ってはいましたが。」

「いや、双眼鏡で見ていましたが、両足が地面から離れていま
した。取りあえず失格にはしませんが、歩いて下さい

 一発退場のレッドカードではなくて、イエローカードを渡された
格好です。

「分かりました。でも、後ろからも速い選手が来ますからね。」

 その時には平野さんの姿を小さく確認していたので、

「シメシメ、彼のペースが落ちるだろう。」

と思ったのは言うまでもありません。(笑)

 しかし、彼は速い。新しく整備された七五三掛を登り返して
いると、

「おーい

と大声で私を呼ぶ声が対岸から聞こえました。

「走るなよ~

と私が答えると、彼も、

「走るなよ~」(笑)

 勝ちへの執念が私の10倍はある方なので、優勝は無理
でも3位に甘んじることはありません。ゴールである山頂神社
直下の登りで私を追い越してそのままゴール。タイム差は、
僅か1分程でした。

 まぁ。私としては、参加者名簿を見た時からこの順位を予想
していたし、全力を尽くしての結果なので悔いはありません。

 いや、若干あるとすれば、先週に鉾立まで行きながらもハイク
の練習をしなかったことが敗因かな。やっていれば調子がもっと
良かったのは間違いないから。どっちにしろ、高橋さんには
勝てないんだけどねー。

 山頂では、山仲間の堀田氏が出迎えてくれました。
担ぎ上げたビールで祝杯を上げましたが、上位二人が速攻下山
となったので、飲み干さないウチから彼らを追って下山。
いやはや、せっかちな人達だー。

 と思ったら、高橋さんはゴールするとすぐに新山を往復して
きたらしい。いやはや、本当に凄い人だ。(@@

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 ということで、超人二人の興味深い話を聞きながら下山して
いると、御浜への登りで、

「佐藤さん

と声を掛けられました。冬山で何度も遭っている、本荘山の会
のデンキさんと、マドンナの通りすがりの新人さんでした。
ナンと、彼女は私を応援するために、

「がんばれ、さとうさん!!」

と手書きした団扇を持参していたのだ。これはメッチャ嬉しい。
もしも、登りで会っていたならば、テンションが一気に上がって
2位でゴールしたのは間違いありません。

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 いや~、本当に嬉しかったです。今も自室でその扇子を扇ぎ
ながらこれを書いています。

「ありがどのぉ~

 ということで、満ち足りた気分で仲間の待つ鉾立へ下りたので
ありました。

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